寄木細工は、数多い有色天然木材が持ついろとりどりの木材の色彩と木目を充分活かしながら、伝承されてきた修練の手技により寄せ合せ、幾何学模様を表現した大変精密な木工芸技術です。特殊な鉋で薄く削った模様を小箱など木製品の外側に貼る「ズク貼り」と厚みのある文様板を加工してそのまま製品の形を作る「無垢作り」という方法があります。
この技法は、江戸時代の箱根小田原のここ畑宿にて石川仁兵衛が始めたとされ、デザインの原型は箱根旧街道の石畳であったと言われています。種木は様々な木材を使用するため、材質も堅さも異なっており、それらを考慮した加工技術には相当な熟練を要します。
江戸時代から今日にいたるまでこの技法は継承され、我が国では他に例を見ない独得の貴重な木工芸品として、昭和59年(1984年)5月に通産大臣(現 経済産業大臣)より伝統的工芸品と指定されております。